「介護老人保健施設(老健)」という言葉を耳にしたけれど、具体的に何をする施設なのか?入所条件や期間は?特養や有料老人ホームとの違いは?といった疑問をよく耳にします。入所条件・費用・在宅復帰率、医療・リハビリの内容、安心感、家族の視点でのメリット・デメリットまでわかりやすく解説します。
老健とは何か?
介護保険法第8条第28項では、老健とは「要介護者であって、主としてその心身の機能の維持回復を図り、居宅における生活を営むことができるようにするための支援が必要である者に対し、施設サービス計画に基づいて、看護、医学的管理の下における介護および機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設」とされています。
老健は通所・短期入所・入所の三形態を持つ中間施設で、病院と自宅の中間に位置。最大の目的は“在宅復帰”であり、心身状態が安定期に入った高齢者が“自立した日常生活”をできるよう、看護・介護・医療・リハビリを一体的に提供する施設です。
入所条件と入所期間、費用相場を整理
入所条件
・原則:65歳以上で「要介護1」以上の認定を受けた方
・40~64歳でも、特定疾病による要介護認定があれば入所可能
・認知症の方も相談可能な施設が多くあります
入所期間
・原則3~6か月程度が想定期間
・平均的には約10か月(299.9日)のケースもあるが、施設によって差があり
費用相場
・初期費用(入居一時金)は不要
・月額費用は9万〜20万円程度
・ただし、部屋タイプや加算サービスにより幅あり
サービス内容の中身を深掘り

医療・看護体制
・常勤医師の配置が法律で義務付けられており、多くの施設が夜間も看護師常駐
・吸引、経管栄養、処方など医療的ケアをしっかり受けられる体制
リハビリ・機能訓練
・理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの専門職が配置され、個別計画に基づく実施
・歩行訓練、日常動作訓練、嚥下・発声訓練、趣味・手芸など多彩対応
スタッフ・設備の基準
・医師1名以上、利用者100人に対して1人以上配置
・栄養士配置は対象規模によって定められており、居住棟はユニットケア形式が主流
メリット・デメリットを冷静に見極める
メリット
・在宅復帰に特化した施設:リハビリと医療が連動している
・医療体制が充実:24時間安心の看護・医師体制
・費用がリーズナブル:初期金なし・民間施設より低価格
・入所しやすい:要介護1以上対象で特養より門戸が広い
デメリット
・終身入所には不向き:原則3~6か月の利用期間
・生活支援サービスが限定的:洗濯や散歩同行などは実費委託となる場合多し
・個室が少ない:多床室主体でプライバシーの確保が難しいケースあり
主な施設との違い
| 比較項目 | 介護老人保健施設(老健) | 特別養護老人ホーム(特養) | 有料老人ホーム |
|---|---|---|---|
| 目的 | 在宅復帰(リハビリ重視) | 終身的入所(介護支援中心) | 快適さ・生活支援重視 |
| 入所条件 | 要介護1以上(特定疾病対象40~64歳も可) | 原則要介護3以上 | 民間基準による |
| 入所期間 | 原則3〜6か月(平均10か月程度) | 基本的に終身 | 無期限(契約次第) |
| 医療体制 | 常勤医師・看護師常駐など充実 | 嘱託医・訪問診療 | 施設による |
| 費用 | 月額9〜20万円前後(初期費用なし) | 公的施設で安価 | 入居一時金+月額高額 |
自分に合った老健・施設を選ぶには?
選び方の観点
1.施設の在宅復帰率やベッド回転率:高いほど機能強化型
2.リハビリ専門職の在籍数と内容:個別プログラムの充実度をチェック
3.医療対応力(夜間吸引・褥瘡管理など)
4.居室タイプとプライバシー配慮:個室の有無・特室料の有無
5.待機状況・入所までの期間:1~2か月〜半年以上まで状況は各施設で差あり
問い合わせ時に確認すべき数値
・在宅復帰率(例:何%)
・平均入所期間(日数または月数)
・ベッド稼働率と回転率
・月額費用内訳(居住費・食費・介護費用・加算等)
・プライバシー対応数(個室・2人部屋など割合)
老健は「在宅復帰」を目指す中間施設。目的に合った選択がカギ
介護老人保健施設(老健)とは:介護保険法に基づき、「看護・介護・医療・リハビリを一体提供して在宅復帰を目指す施設」。対象は要介護1以上(ただし40~64歳も例外あり)、入所期間は原則3〜6か月、費用は月額9~20万円程度、初期費用は不要。
リハビリや医療体制が充実し、安心して利用できる一方で、生活支援は限定的で長期入所には向かない点に注意が必要。
選び方のコツとして、在宅復帰率やリハビリ体制、医療対応力、居住環境、待機期間等を事前に確認することが重要です。
老人ホームや介護施設選びでは、「目的(在宅復帰/終身入所)」を明確にし、ご本人の状態と生活目標に最も合った施設を選ぶことが大切です。老健は“再び自宅に戻るためのステップ”として非常に有効な選択肢になり得ます。施設選びで迷いがある場合は、地域包括支援センターやケアマネージャーに相談するのも有効です。



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