「老後の生活費はいくら必要?」「2000万円問題って本当?」そんな疑問を抱えながらも、具体的に何をすればよいかわからない方は多いはず。実際にどれくらいの資金が必要なのか、どのように準備を進めればよいのか——今回は、経験豊富なファイナンシャルプランナー(FP)酒井健吉さんにお話を伺い、老後資金のリアルな実態と対策について詳しく伺いました。
老後の資金問題は人それぞれ
「老後資金は2000万円不足する」「4000万円ないと足りない」──そんな情報が世の中にあふれていますが、本当にその金額が必要なのでしょうか?
今回、ファイナンシャルプランナー(FP)として多くの方の相談にのる酒井健吉さんに、老後資金のリアルな実態と備え方について詳しくお聞きしました。
老後の資金問題、2000万円問題の真実とは?
「よく『2000万円問題』という話を耳にしますが、一括りにするのは危険です」と酒井さんは語ります。
「100人いれば100通りの老後があるので、必要な金額も人によって違います。今までどのような生活を送ってきたか、老後にどう過ごしたいか、親の資産状況や年金の額、相続の可能性など、さまざまな要素を考慮する必要があります。
例えば、ある60代の女性は国民年金のみで月7万円の収入しかなく不安を抱えていました。しかし、実際には親からの相続資産が数千万円あり、それを適切に運用すれば十分に生活できることが判明しました。
老後の資金に関しては現金がすべてではありません。総資産としてどれくらいあるのかを把握することが大切です。相続などを含めた資産がどのくらいになるのかをできるだけ早く把握し、将来を考えていくことをおすすめします」
老後に備えるためのシミュレーションの重要性

「老後の生活設計を考える際には、まず自分の資産状況を整理し、シミュレーションを行うことが重要です」と酒井さん。
では、具体的にどのようなポイントをチェックすればよいのでしょうか?
・親の資産状況や健康状態(介護が必要になる可能性)
・退職後の生活スタイル(旅行や趣味にかける費用など)
・年金受給額と退職後の収入源
・住居(持ち家か賃貸か、不動産資産の活用)
・医療・介護費用の準備
「親の介護が必要になったときにどうするのか、施設に入れる場合の費用をどう工面するのかも考えておく必要があり、事前に家族で話し合っておくことが大切です」
貯金だけでは足りない?資産運用のススメ

「よく『老後に向けて貯金をしなければ』と言われますが、貯金だけでは資産は増えません。運用も視野に入れておくべきでしょう。
例えば、毎月1万円を年利8%で運用した場合、30年後には1400万円ほどになります。これが貯金だけだと360万円にしかなりません。日本ではまだ投資に対する意識が低いですが、NISAやiDeCoなどの制度を活用すれば、税制優遇を受けながら資産を増やすこともできます。もちろん投資がすべてではありませんが、選択肢のひとつとして頭に入れておくにこしたことはありません。できるだけ早い段階から少額でも運用を始めることも大切です」
また、定年後に資産を取り崩す際の方法として、
・債券型の投資信託で安定的に運用しながら取り崩す
・高配当株を活用して定期的な収入を得る
といった手法もあります。
「大事なのは、長期的な視点で計画を立てることです。途中で相場が下がっても、焦って売却しないことが重要です」
信頼できるFPの見極め方
「金融の知識は専門的で複雑なので、FPに相談するのは非常に有効な手段です。しかし、FPにも様々なタイプがいるので、信頼できる人を選ぶことが重要です」
では、どのようなFPを選べばよいのでしょうか?
・保険や証券など特定の商品を売ることが目的ではないか?
・幅広い金融知識を持ち、バランスよく提案できるか?
・これまでの経歴や実績は十分か?
・相談者の立場で考えてくれるか?
「FPの資格を持っているだけでは不十分なこともあります。実際に相談してみて、自分のライフプランに沿ったアドバイスをしてくれるかどうかを見極めていきましょう」
30代・40代から始める老後の準備
「老後の準備は早ければ早いほど良いですが、年代ごとに優先すべきポイントが異なります」
30代:少額でも運用を始める、NISAやiDeCo、年金保険などの活用
40代:退職後の生活スタイルを具体的に考え始める、親の資産や介護の問題を把握する
50代以降:退職後の資産シミュレーションを行い、資産の取り崩し方を考える
まとめ
老後の資金問題に対する不安は、正しい知識と計画的な準備によって軽減できます。もちろん預貯金も大切ですが、それだけでなく、資産運用も選択肢に入れ将来に備えていきましょう。
「不安を感じる前に、まずは現状を整理し、シミュレーションしてみることが大切です。必要であれば、信頼できるFPに相談し、より良い老後に向けた準備を進めていきましょう」
あなたの老後が安心で豊かなものになるように、今からできることを始めてみてはいかがでしょうか?

酒井健吉さん
Profile
AFP(日本FP協会認定)
証券外務員一種
損害保険取扱資格
相続FP(一般社団法人相続FP協会認定)
相続診断士



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